『日本の美術6 刀剣』佐藤寒山・編

昭和41年の刊行で、雑誌スタイルだと認識すればいいのかな(表紙には「10月号」らしき表示も)、大雑把に読んで感じたのはこの当時は今よりもはるかにこの手の本の需要があったのだろうこと、初心者が読むことはそれほど想定されていないだろうこと、多少なりと情報があれば体系立っていなくても具体例が多いのでそこまで読みにくくもないだろうということ。
ただ、この本で体系そのものを掴むのは無理なんじゃないかなぁ…。
個々の刀に関してと、その刀の位置する全体の地位みたいなものを調べるにはいいと思うけども、薄い雑誌なのでそんなにたくさん載ってませんw
一つの刀を取り上げて、その刀工の説明をしているような感じ。
いわゆる五箇伝などの横の広がりではなくて全体の大きな変化で刀剣を捉えるにはいいのかなぁ、でもやっぱり説明部分が少ない。当時はこれ読める人が結構普通にいたんだろうか、もともと同シリーズにマニアックな題材も多いしな、と悩み中。
(ただ同シリーズでも初心者にもわかる配慮もあったりするしなぁ。)

時々見かける、刀の形状から時代を探る、などに関してはわりとばっさりと古刀と新刀(まあ江戸くらいから)の違い程度で、かなり変化があるので素人でも見たらわかるんじゃないかな。考え方に触れるという程度。
曖昧なものはあんまり入れずに、わかっていることだけで一旦簡潔に全体の流れを説明したみたいな感じで悪くはなかったんですが、曖昧な部分があるということも念頭に入れておかないとちょっとその後がキツいかなぁ、とも思わないでもなく。
慣れた人が手元に置くにはだいぶいい出来だと思います。