『日本の美術66 古代の瓦』稲垣晋也・編

日本の建築においては「屋根」に対しての拘りがあまりないのですが(西洋建築だとまあまずそこがメインなんだよね)、むしろこの瓦が圧倒的すぎて他の選択肢があまり一般的ではなかったというのが要因としてあるのかもなぁ。
てか、なんで西洋では瓦が一般的ではないんだろうね? そこまで地理条件に囚われないように思うんだけども、あるいはそうでもないのかな。
(土はどこにでもあるよな、あと必要なのは窯、燃料? この辺かなぁ。)

で、要するにどっちかというと建築技術の捕捉的な期待をして手に取ったんですが、なるほど、法隆寺においてもオリジナル瓦が残っており(法隆寺が一回建て替えられたってのは瓦の観点から語られていたんだね、そっちメインで語ってて欲しかった、わかりやすかったなぁww)、ということだと要するに日本では最古のクラスのものから普通に残存してるってことなのね。
ここの著者さんはどうも美術観点メインの人のようなんですが、おかげで分類が細かい細かい、あと、造詣に関しての熱意が半端ない。
そういう観点で見ると平安時代が停滞期であって、その前の時代は結構細かく条件が変化していると見るのが妥当なのかなぁ。建築関係だとどの程度旧来の様式で残っているかどうかが曖昧なんでちょっと新鮮だったような気がする。
なにしろ技術者の記録ってろくに残ってないからなぁ、瓦博士の存在などはさすがに判明しているものの、瓦の状態や窯の遺跡からどのような意識の変化があったかという観点でも研究が進んで欲しいなぁ、あとあれ、建築とはどの程度リンクしていたのかね。
少なくとも瓦を再利用したというのは確定なんだね、もうちょっと産業視点欲しい。