「地形で読み解く鉄道路線の謎 首都圏編」竹内正浩

『地形と鉄道』という本だと他にも凹凸系の本があるんですが(よく考えたらあっちの今尾恵介氏もどっちかというと地形というより地図系だっけか)、こちらは凹凸や地図にも言及されるもののどっちかというと都市計画なんかをメインにした資料系。
前に道路と軍事遺構の本を読んで肝心の鉄道謎解き本がまだだっけかそういや。

で、まあざっくりと鉄道趣味の人間としては鉄道サイドからはかなり読み込まないと出てこないものの、土地単体の話になっているので理解するのに特に苦労はいらないんじゃないかなと、ただ、完全に土地勘がないと読めないよねこれ。
あと、鉄道系だと大雑把な時間の流れが入っていないときちんと時系列では理解出来ないかもなぁ、みたいな感じで、鉄道寄りではないかもですね。
面白かったのが渋谷のすぐ西側にある京王・井の頭線神泉駅の近くにある円山町が三業地(芸妓屋、待合、料理屋を指すんですがまあ花街だね)になったのが明治20年に置屋が出来てからのことだったらしく、もともとこの地にあった温泉「弘法湯」が明治以降温泉地として開けたってのが最初だったんじゃないかなぁ、みたいな感じ。
円山町ってのも京都の円山町を意識してのものとかで、まとめてどっかから鳴り物入りで来たのかもねぇ、んで、どうしてこの地に温泉が出来たのか、というとどうも大山街道が軍事関係の道になったから、というのが先なんだろうかね。
微妙に明言されてはいないんですが、実際この辺を分析した人もいないだろうしなぁ。
それと新京成のカーブは近くに軍用牧場があってそれを避けたのと地形的に理に適っている部分と若干の辻褄合わせでカーブさせたところもある! という見事な折衷案でしたw
もうちょっと荒川放水路系の話が聞きたかったですが、まあまあの内容でした。