「武士と荘園支配」日本史リブレット24、服部英雄

武士と荘園支配 (日本史リブレット)

武士と荘園支配 (日本史リブレット)

 

 

これがなんの本か、ということを改めて考えた時に(要するに武士に関わる環境を上から下まで取り上げているので雑多なことが扱われているんですがそれはそれとして)、要するに武士の階級や経済基盤についてをまとめたということになるんじゃないのかな、と思うんですが、少なくとももともとは地元の守りとして武力が必要とされたところから(これが汚れ役って言われたらさすがにわかるよね)、経済的に自立していって武家政権が樹立されるというところまでの発展は見たらわかるというかそのままなものの。
もともと「卑賤の身」だったところから、自分たちだけ脱出に成功した、と言われるとちょっと疑問かなぁ、という気もしないでもないんですよね。
なんというか、そもそも中世の初期くらいには卑賤の者という認識はまだ存在せず、庶民とそれ以外と貴種くらいで、「それ以外」と庶民に地位の差があったかというと、むしろ庶民より若干地位が上だったんじゃないかなぁ、若干だけど。
それ以外ってのはあれ、宗教人とか特殊技能者とか、芸能関係者とか、それこそ遊女なんてのもいたんですが、この辺も別に下の存在じゃないんだよね。前に読んだ本では遊女と馬子、あとなんだったかな? は中世の初期にはむしろ地位が高かったんだよね、と言われていたんですが、確かにこれも特殊技能者だよなぁ。
そうそう思い出した、地位が下落したのってあと金属加工のたたら者たちだ。

つまり、卑賤の者から身を上げていった、というより、特殊な地位だったところから卑賤な存在へと落ちなくて済んだだけだったんじゃないのかなぁ、ということを考えながら読んでいたものの、この本の範囲だとそこまでの違いはないのかな?
まあともかく、一つずつちゃんと出典のある本なので経済関係など良かったな。