『日本の美術197 平安建築』工藤圭章・編

前に古代建築の本を読んでいたことがあるのですが(すごく大雑把に鎌倉時代からが中世確定、平安時代は多分ですが院政の頃くらいから中世に入れられていたりいなかったり、というところじゃないのかな)、まあ要するに寺の本です。
現品が比較的古式の形で残っていたり、本気で現存していたりすることすらあるのでさすがに他が優先される可能性は少ないですよね、うん。
この建築技術が若干の寺院の流派や、政治状況によって変化したり、大陸からの技術の再流入で変化したりするので、今までで一番詳しい寺の本でした。
そこらの寺院の本よりよっぽど詳しく、常にジャンル内できっちり情報が共有されている、それが古代建築(主に平安時代)の歴史! なんだこれ!!
まあ要するに新しいところがあまりなかったんですが、寺の歴史という意味だとこれ以上もないほどまとまっているので研究するところが少ないんだろうなぁ。
木材建築の本を読んでいた時や、大陸から見た建築技術なんかの観点だと少し新味があったんですが、それもまだ研究途上なのかな。勿体無い。
中国からもたらされた木組みのあまりの複雑さに、日本の職工が挫けたらしくだんだん簡略化されていくところとか結構好きなんですが、そっちもなかったんだよなこの本。

なんの話をしているのかだんだんわからなくなって来ているんですが、奥州藤原氏中尊寺が平安や古代建築の代表格として出てくるのがちょっと意味がわからなかったんですが、要するにあれか、作られた当時のまま! という好条件か。
地方の自治独立が一般的になるのがこの次の時代の鎌倉時代のはずだし、その時点だともう建築技術に変化があり、近畿圏の巨大寺院はだいたい燃えた、納得した!