「信長の城」千田嘉博

信長の城 (岩波新書)

信長の城 (岩波新書)

 

 

とりあえずかなり初っ端から軍学もしくは軍学寄りの用語は正確でもないから使わない、という宣言があってちょっとびっくりしてしまったんですが、全体的に抑制が効いて良い内容だったんじゃないのかなぁ。
この著者さんの本はもうちょっと読んでみたい気もする。
そういや読んでいた中に岐阜城の記録があったんですが、単に読んでいるだけでもものすごい構造(なんていうの、空中楼閣めいた印象になってるかも)なのは普通に伝わってくるのですが、ううん、ひょっとしてフロイス氏だったのであんまり重く扱われなかった可能性もあるのかもなぁ、まあ彼は…ちょっと仕方ない。
(なんか全体的に記録が、ちょっと癖あってねー、宣教師だしさすがにそんな嘘は付いてないと思うんだけど、表面的に嘘ではない範囲で済ませるための誤魔化しが透けて見えるレベル。)
城はちょくちょくと問題点のような部分は聞いていたんですが、要するにだいたい長い時代を実用の用途があり、それが変化している存在ではあるんだよね。
そうなるとまあ、どうしても構成から遡って考えてしまうことに。
もちろん考古学や実物から辿るジャンルはあるにはあるものの、城関係の人たちだとその系の人が多数派ではないみたいだからなぁ。宝島社の廃城萌えみたいな本が一番内容がちゃんとしているという印象でした。
この本はその真逆の方向性のいい本というところかな。

てか、戦後すぐくらいの航空写真で城郭を推測って初めて聞きました、そして考古学をちまちまちまちま積み重ね、文献に当たり、お疲れさまです頭下がる。