『日本の美術15 天平彫刻』杉山二郎・編

そもそも彫刻に関して読むのが始めてなのでとりあえず『日本の美術』で近い号で彫刻と付くものを片っ端から借りて来てみたところで、正直なところどの号が古くて新しいのかがよくわからない。
この見慣れない天平が古いんだろうか、とまず読んでみたものの、あー、東大寺の作られる前後といったところでしょうか。本の中では「奈良時代後期」と表現すべきではないかというようなことを言われていました。
あと彫刻においての独特な表現として「白鳳」というものがあるようなのですが、この呼び名を一般的にする必要まではないものの(同じレーベルだと「白鳳・飛鳥」になってますね)、彫刻以外に適応するのはいまいちねぇ、と言っておられたので各ジャンルにはジャンルごとの悩みや定義に関しての拘りがあるんだね。

正直なところ読み始めてすぐには気付かなかったんですが、この時代にはどうも複数の地域系統の渡来人が存在し、その渡来人の傾向によって仏像の様式に変化が出ているのではないか、ということを示唆しようとしていたのかこれ。
基本的にはこの時代の彫刻は仏像のみ、そして逆に、仏像であれば作り方に関しては特に拘らずに天平彫刻、ということになるようです。
前に技術系に偏った内容だと、手のバランスだとか素材の乾きやすさだとか、軽さにおける造詣の限界などが触れられていたんですが、この著者さんの専門とするところではないように思います。ただしそこそこは知ってるぽいね?
で、詳しかったのが鍛冶鋳物師に関してや仏教や寺院の情報に関してでしょうか、周辺の本ってなんでやたらと寺院に詳しいんだろうね、びっくり…。