「豊臣秀次-「殺生関白」の悲劇」小和田哲男

正直なところを言うとかなり微妙な内容だったのですが(ただ著者さんは存じ上げていたので読み続けましたよ、真面目な人だよね)、あれだね、やっぱり著者さんそのものというより、この近辺のジャンルがかなり最新研究が進んでしまっているところだから違和感あったんだろうなぁ、と言っても2002年の刊行なので、そこまで古くもないんだけど、なにしろ研究者の絶対数や媒体の多さが半端ないしね…。
ただ、この人物の出自、どうして三好家の養子となったのか、どのような結婚をしていたのか、どのような振る舞いだったのかを多少噂を割り引いての上で言及。
秀吉の側から関白となった彼にどんなことをしたのか、などに関しては多少研究が進んでいてもほぼこの認識でいいんじゃないのかな。
ただまあうーん、現行の歴史書を疑え、という観点はいいと思うんですが、その場合にもうちょっと歴史書以外のツール使って欲しいというか、あくまで文献便りの人が扱うテーマとしては手に余ったんじゃないかなぁ、という気も。
とはいえ、この本が書かれたのが2002年だと仕方ないか。
(遺跡の発掘などに関しては、研究者さんがどうこう関与出来ることでもないし。)

 

ただ、最近読んでいた少し古めの伊達政宗の本とか、文禄の役など関係の本を思い返すと、もうちょっと、みたいにはどうしても思ってしまうなぁ。
秀次が甥として徹底的に利用されていたというのはわかるものの、なんだかんだと彼にとっての一族って皆そんな感じだったみたいだしね。
まあでも、文献に載ってる分に関してはほぼ取りこぼしなく触れてただろうってことで納得するか…、どっちかというとなんか惜しい本でしたかも。