「伊達政宗の戦闘部隊-戦う百姓たちの合戦史」歴史新書y、中田正光

 

伊達政宗の戦闘部隊 ~戦う百姓たちの合戦史 (歴史新書)

伊達政宗の戦闘部隊 ~戦う百姓たちの合戦史 (歴史新書)

 

 私にとっては正直なんてこともない本だったんですが、もともと戦国大名に興味がなくて民衆の生活史だとほとんどの時代を一通り読んでいるみたいな感じだしね、ただ、戦国趣味と言われる人たちに不満な内容になっていたのはまあわかるかなー、というか。
戦国武将は「農民の突き上げによる土地の要求に対して応えなくては見捨てられた」的な理論になっておりまして、伊達さんてのはそういう意味だとだいぶいい君主だったんだろうなぁ、ということが全体的な論調から。
そもそも、この人物が選ばれたのも資料が結構ちゃんと残ってるから、みたいな理由なんだろうし、きちんと調査してて、農民側が特に誤魔化しをしていないんだったらそりゃだいぶいい領主だったんだろうとしか結論付けにくい。
で、本の後半で上杉氏が転封されて来ていたんですが、ちょいちょい伊達氏が兵士などの引き抜きを行っていて、ああうん、そうもなるよな、と納得。

それと、前々から伊達政宗一揆衆と裏で結託しているのではないか、と疑われることがたびたびあった、というような記述を見掛けていたのですが、要するに一揆衆ってのは農民なので、まあ普段から関係が良好であった、と周囲からも認識されていたって把握まではしてもいいんじゃないかなぁ。
そしてこの本はさらに、農民が兵士を兼ねていると崩壊しかねないので、農民を保全するために兵士を引き離していく、ということが語られていました。
ああうん、武士が上じゃなくて、農民が主体なのか、これは土地だけを持っていてもなんの意味もなく、農民があってこその収穫だ、という当時の荒廃する農地を考えれば突飛でもないんだけどね、日本人には受け入れにくいわね。確かに。