「同和鉱業片上鉄道(上」RM LIBRARY-127、寺田裕一

同和鉱業片上鉄道〈上〉 (RM LIBRARY 127)

同和鉱業片上鉄道〈上〉 (RM LIBRARY 127)

 

 

硫化鉄鉱というのがどういうものかまずわからなかったんですが、名前の通り硫酸と鉄との原材料となり。この硫酸のほうが硫黄の生成に使われる、とネットで調べたら載っていたんですが、ああ、それで石油コンビナートで硫黄の生成を行うようになったら需要が急激に落ちたってことになるのかなぁ。

(鉄も含まれてるんですが、鉄だけだと他と比べての競争力が少ないのかも。)
正直なところ上巻で語られていた沿線があまりに寂しかったんでどうして上下巻だったんだろう? とちょっと不思議になってしまったんですが、ああ、この硫化鉄鉱の柵原鉱山があった時代の貨物輸送はすごく盛んだったんですね。
所有車両の多彩さや台数の多さはちょっとしたものだったみたいです、そうなのか。
それと、硫黄そのもののシェアの低下ではなく、別のところの事情(石油コンビナートの公害対策だったんだって)で閉山に至ったってことは、まあ、沿線にとってはかなり急なことだったんでしょうね。
長い時間があればあるいは存続運動もなんとかなったかもしれないんですが、沿線の学生が集落で数人で、けれど全体の状況としては全く問題なかったらなかなか危機感も出ないのかもしれないなぁ。廃線の話が出てきてから「ヨーロッパ時代村」だっけかな、そんな名前のレジャー施設の計画もあったようですが、自然消滅したようです、うん、バブルっぽい。

ええと柵原鉱山のある柵原から(こっちが南)、山陽本線の和気までをつなぎ古くからの港である片上までをつなぐ路線なので片上鉄道か(こっちが北)。もともと山陽本線そのものが山陽道よりも北寄りだったらしいんですが、片上を通らなかったこともこの鉄道の動機の一つにあるのかもね。廃線跡は今も良好な状態のようですが、なんか悲しい路線だな。