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「鉄道会社の経営-ローカル線からエキナカまで」佐藤信之

すごく個人的に東急の(鉄道会社としては別に嫌いでもなんでもないけど)いわゆる「土地戦略」に関してはあんまり評価していなくて、少なくとも他の会社が真似していいものとは少しも考えていないものの、この本を読んでわりと今まで結び付けて考えてこなかった視点、人口の減少に鉄道会社単位で唯一立ち向かっている、という観点で渋谷の再開発を捉え直してみると、なんだろう、この本程度の特別な評価は妥当かな、と思えないでもなく。
しかしまあ、それだからこそ、他所の会社には全く不可能ではあるんだよね。

前半で鉄道の黎明期から、戦後の新幹線の歴史を大雑把に社会の隆盛期として捉え(戦争も低迷期ではあるけど、実は短期要因なんだよね、あれ意外と)、その時代には特別な施策もいらず、人間の動きを追いかける形で鉄道があとから作られた、と語り。
現在その逆の方向になってきた時に、さて、鉄道という単位でどのようなことが出来るのか、というと、うーん…、無理だと思います本当に。
「乗って残そう」運動や、利便性を上げて自動車での通学から少しでも学生を取り戻そう、という試みなどには触れていたんですが、後者はともかく前者には無理がある。というより、人口の減少に対してローカル線が出来ることってないと思うんだ本当に。
(で、そのことを念頭に置いてみると、渋谷というミニ都市レベルの地域を東急単体で再開発しようとする活動に非常に敬意を払う著者さんの気持ちはむしろよくわかる。)
九州や四国などの自動車優勢がすでに決まってしまった地域での鉄道の試みなんてのはあんまり触れてなかったんですが、多分都市論寄りの人なんでしょうね、観光地の目論見なども挙げてらしたけど、あくまで補佐的な動きって見てるのかもね。
上下分離の経営もですが、採算性以外で考えたほうがいい地域って多分あるよなぁ。