『日本の美術50 藤原彫刻』中野玄三・編

一言で言うと平安時代後期、仏師の系譜で京都に円派、院派、奈良に慶派が存在しているというのは聞いていたんですが、ああ、仏師の系譜って集団なのはこの三派で打ち止めだったのか…。
で、この三派は全て平安時代後期の定朝という人物から始まり、京都の二派は結局この定朝の様式から脱却出来なかった(とはいえ、それはそれで手堅く固まってもいた)、奈良の慶派は運慶を頂点に荒削りなれど新しい様式に到達した、みたいな認識でいいのかな。
とはいえ、その少しあとくらいで末期と呼ばれているので、なかなか時代が短い、と認識していいのかなぁ。
どんどん小型化していくというか、手の平に乗るような仏具なんかのほうが印象深いんだよね、この同じ雑誌の中に「鎌倉彫」という題材のものがあって、鎌倉彫刻とはどう違うんだろう? と混乱していたんですが、要するにこの時代よりも以前には彫り物と言えばほとんど全て仏像であって(生身の人間題材のものもあるけど目的は同じ)、それ以外の道具に施される装飾ってのが出たのが鎌倉なのかもねぇ。
結果的にあとの時代の鎌倉彫刻から読んでしまっているんですが、この順番のほうがわかりやすかったんじゃないのかなぁ。
今回は石造美術に関してを借りて来なかったんですが、機会があったら読んでみよう。
これも鎌倉時代くらいに起点があるらしい本は別のところで見てますしね。

 

基本的にはこの本では「定朝様式」に属しているものを時代をあまり拘らずに紹介しているようだったんですが、個人的な好みとしてはちょっと大人しいかなぁ。
なんとなくスタンダートとされる意味もわかるような気もしますね。