「関東戦国史と御館の乱-上杉景虎・敗北の歴史的意味とは?」歴史新書y013、伊東潤/乃至政彦

関東戦国史と御館の乱 ?上杉景虎・敗北の歴史的意味とは? (歴史新書y)

関東戦国史と御館の乱 ?上杉景虎・敗北の歴史的意味とは? (歴史新書y)

 

 

2016年の大河で大層な善人として登場された上杉景勝どのだったので、さすがにそれ自体は創作としても今読むと混乱するのではないのかなー、ということが心配になってしまったこともあったんですが(タイトルにある景虎さんとの後継者争いの相手)、まあ、きちんと資料が引いてある内容だと特にそんなこともなくて済むかな。
正直、なんでこういう解釈になるのかの情報源はきちんと見せていただいていた感じ。
今年の大河のほうも歴史を語るという側面よりも、この情報の範囲内で最大限面白い展開にするね!! みたいな気概が感じられるので評価しています、てか直江さんまで可愛いw
 
で、この本ではまあ悪役です。
悪役というよりは若干ルールに厳しすぎて先代がなあなあにしてきたものが崩れてしまいかねないという危惧があり、そのこともあって「かつての後継者だった」上杉景虎という北条家の血統の人物が再度担ぎ出されることになったらしく。
本の中で結構推測でつないでいる部分もあったんですが(かつての後継者だった、という部分に関しては私はこれで十分説得力があるかなー、と、北条との縁を切る予定というのは確かに前後見てると納得)、最終的には結局どっちにも理があり、そして敗れた側である景虎に対して北条との連合の可能性を見出した人の気持ちもわかる。
そもそも景勝は自分が勝ったあとも、負けた側の景虎に与した側に対しての掣肘や言動を強制した様子もなかったという評価になっているので、いいんじゃないのかなぁ。
ただし自分の甥? 甥だよね? である景虎の子で先代・謙信も認めた後継者は殺してたのでまー、そこはちょっと褒められなくても仕方ない気も、そこだけは気にしてた人なんかもいそうね。どういう印象の人にも悪い本ではなかったんじゃないのかなぁ。