「浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか-仏教宗派の謎」島田裕巳

浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか (幻冬舎新書)

浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか (幻冬舎新書)

 

 

正直これ自体が現代を志向しているタイトルに見えたのであんまり期待せずに手に取ったんですが思ったよりもはるかに歴史部分が多くてだいぶ満足、というより、今まであまり俯瞰して語られることがなかった仏教全体に触れていたのでだいぶ収穫だったんじゃないですかね、とりあえず私、南都六宗に関して一まとめで認識していて別個に考えたことがほとんどなかったんですが今回それが別に間違ってなかったことがわかって安心しました。
というか、寺として残ってるのが三つしかないのか…ちょっと意外な感じ。
次の空海最澄に関しては微妙に判断保留にしたいんですが(若干こう、大胆な展開していたので、ただ、仮説としては十分ありだと思う)、鎌倉新仏教に関しての内容に関してはほとんど掛け値なしにいい内容だったんじゃないのかなぁ。
私正直、浄土宗の法然の集いの場に、東大寺の大勧進である重源がいたらしいみたいなこと聞いたことがなかったんですが、あー、なんかそれはわからないでもないかも。
この人は平氏の南都焼討ののちに東大寺修繕のために他の寺から迎えられているんですが、法然が浄土宗の祖とはいえ比叡山との関係もきちんと保っていたということを念頭に置くとなかなか面白い展開になるんじゃないのかなぁ。
その部分に関して踏み込んだことが語られていたわけではないんですが、この観点で語られた本が今に至るまで一冊もなかったことを考えると評価せざるをえない。
そして日蓮さんが鎌倉新仏教のオチのようにして現れる、と、うん、この人の評価はまあ、最初の一冊を読んだ時点から全く変わってないんですけどね。

 

この本ではあんまり神道関係には触れていなかったものの、もうちょっと歴史関係の本読んでみたいな、いくつか当たってみるか。八幡神社の本も興味あるな。