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「将軍権力の発見」選書日本中世史3、本郷恵子

前に同じ著者さんで中世における庶民の買い物を扱った本と、それと『怪しいものたちの中世』を読んだんですが、非常に視野が広くて面白いんだけども、考えてみるとあれだ、扱ってるものの内容のわりにいまいち土地という単位での認識が薄いのかなー、とふと。
あと、同じく商業単位での言及はあるものの商人そのものへの言及が少ない。
市とか座という単位では把握してるんだろうと思うんだけどね(さすがに周辺読んでたら出てくるし)、なんというか面じゃなくて線もしくは点で扱う人なのかなあ。
 
と、いう本ではなかったんですが、話の主題がばらばらなのでは? という人の感想を見掛けまして、要するに土地の所有そのものが解体しつつある時代だから、そのために土地税(日本には近代に至るまでこれしか存在しないらしいですよ)が機能しなくなっていた、という中世を読むに当たっては前提としている情報が必要だったのかなー、という気はしないでもなかったかな。

私程度の読み込みでもわりと前提というか、周知のことだとも思うんですが、確かにこれだけ広いところを扱う人には触れておいて欲しかった気持ちもわかる。
まず鎌倉幕府を引き合いに出し、常に将軍が徹底して無力な状態に置かれていたこと。
けれど天皇権力に関してはほとんど無関心に近かったこと、裁可などが京都から鎌倉へと回されて来てもあまりいい顔はしていなかったこと。
この辺りの事情がそのまま室町幕府においても踏襲され、今度は公家社会との融和も図られたような一面があること。
そういう背景に土地所有がぐたぐたになっていて政治を行う資金がそもそもない、という状態があり、そこを集めるのに禅宗が活躍した、宗教が幅を利かせたという話が…ああうーん、確かに素材であって結論に至ってなかったかも、私には面白かったんですけどね。