「経営者・平清盛の失敗-会計士が書いた歴史と経済の教科書」山田真哉

そういや読書メーターに登録する時点で平清盛のことを100%触れ忘れていたんですが、どっちかというとわりと純粋な経済理論の本だったかなー、という気も。
あくまで平清盛が主題ではあったものの、どうもその人となりのような部分にはあまり興味がない、というかそういう触れ方はしてないんだよね。
宋銭が仏具の材料として輸入されていた、というのは正直、時々奇説として取り上げられていることがあるんですが宋銭と同じ比重の仏具が実際に残ってんのね?
というか、銭として使えなかったらいざとなったら材料として売る! という発想まではいいんじゃないのかなぁ、という気もするんだけどね。
それを平清盛が画策して、米や布の値崩れを狙ったのかと言われるとだいぶ謎。
あとあれ、あくまでもこの本よりもあとに出てますが(それこそ参考文献としてこの本出て来てたからね)、地方には地方独特の貨幣制度があることが少なくなく、足りないのは主に銭単位だった、というのを考えると若干全体の流れとは兼ね合わないかなという気も。
それとこれは昔から言われてますが、寺が発行していた為替に関しての言及がないのはちょっと足りなかったんじゃないのかなー、とは思う部分はちょっとあるよね。
 
ただ、そういう情報が欠けてる部分はあったものの、概ねの流れとしてはだいぶ面白く、個々の部分が否定されても後々までこの理論は使える部分が残るんじゃないのかなぁ。
少なくともこの時代に起こっていたことの一部は説明出来ると思うしね。
貨幣が導入され、物の値段が相対的に下がった、米や布が米や布としてしか使えなくなった、という説明してましたが、実際には継続利用してただろうけど多少はあったろうね、しかし、土地の値段の下落は実際あったと思うんだ、それで崩壊したのかしらね平家…。