「一向一揆と真宗信仰」神田千里

とりあえずこの本を借りて来たメインの目的はがっつがつと戦国武将と対立することのある本願寺がよくわからないという部分だったんですが、正直、一向一揆浄土真宗といまいち印象が一致しないし、本願寺もそんな感じという齟齬のような部分も気になってはいたんですよね、多分、なんかの間の事情や変化を知らないからそう感じるのかもなー、と。
したらこの本では「浄土真宗において直系子孫の蓮如以前は弟子の系譜のほうが優勢だった」というようなことが語られていまして、要するにこの直系子孫が本願寺の管理人に納まるところから始まるようです。
今までの発想では蓮如こそが浄土真宗の本流であって、それ以前は邪道であるという認識がされて来ていたが、なんてことも言われていたんですが要するに以前と以後で違う傾向があるってところまでは意見が揃っていると見ても良さそうでもあるかなー。
あ、直系子孫というのは本当に親鸞さんの子孫ですね、浄土真宗は結婚可能なのね。
 
それと、まだ確定の説ではなさそうなものの、どうも一向宗というのは最初から浄土真宗だったというわけでもなく、浄土宗(要するに親鸞さんではなくて法然さん、親鸞はその孫弟子です)関係の民間習俗であって、蓮如の時に接近を図ったのではないのかな、ということになるんじゃないのかなぁ。
これ、その後どこまで研究で裏付けられたかはわからないんですが、もしそうだとすると本願寺一向一揆が同じような違うような、微妙な関係であることも、本願寺がやたらと強い武力を持っていたこともわりとわかりやすくなるような。
あと個人的には本願寺がやたらと貿易に関わっていたとか、この本の中で出てきた朝倉氏との関係なども気になるのですが、もっと研究進んでいないかなぁ。