「列島創世記-旧石器・縄文・弥生・古墳時代」全集日本の歴史1、松木武彦

前に古代史の番組を見たあとでテレビ関係のブログを見ていたら「邪馬台国関係でもないのに重大発見なんて、困ったもんだwww」と嘲笑っていたのを見てだいぶ暗い気持ちになったものですが(曲がりなりにも歴史に関わる人間がそれって…という絶句ですね)。
どうも最新、もしくはもうちょっと古いのかもしれないんですが、邪馬台国に関してはその所在地を確定することがそこまで重要でもないな、という方向になっているんですね。
で、このシリーズは小学館のものなのでわりと折衷的な内容になってるんじゃないのかなぁ、邪馬台国の場所は今の段階でこれ以上議論しても無駄なんだけども、今後、古代史の進展そのものによって地域を狭めていくことは出来るんじゃないかなー、という。
というか、最近あれやこれやと「邪馬台国と同時代であることはわかっている遺跡」というのがちまちま見つかっているので、当時の国の支配体制がどんなものだったのかというところからよくわからないというのが実情なんだろうね。
遺跡なんてのはそういう流れともまた関係なく、生活そのものを淡々と再現していくことを目的としているんですが、遺跡単体の本なんかを読んでいるとわりとこの道具の使い方そのものに拘ってしまい、そこで論争になるみたいな話もちょくちょく聞くんですが。
 
この本はそこも折衷の内容になっていて、一つずつの道具それ自体よりもその道具そのものの分布によって分析を行う、みたいな展開になっている感じ。
全体的に今まで読んできた本とは資料は同じで手法が違うんですよね。
ただ、個人的には後半の前方後円墳に関しては大括りの全体的な傾向の違いはすでに行われているので(そこまで数が多くないしね)、細かい一つずつの違いによる分析にシフトしてくれていても良かったなー、と。まあでも、十分面白いから次も読もう、楽しみだなー。