『日本の美術43 浄土教画』岡崎譲治・編

この本を読んだ時点で浄土信仰というような仏教の一群があるという認識だったので(浄土宗や浄土真宗などの鎌倉新仏教の辺り)、その辺の仏教絵画が出てくるのかな、と思っていまして、浄土真宗などだと子弟の関係などを絵姿にして大事に保存しているなんて話を聞いたことがあったので他の宗派にもあるのかもしれない、という程度の認識で本を手に取ってみたんですが全く違いました。
というより、自信はないんですけども、多分鎌倉まで時代到達していない…というか、少なくとも浄土宗系の話はほとんど出てこなかったんじゃないかな。
基本的には浄土が存在し、そこに到達するための信仰のスタイルということが語られていたんですが、えーと、要するに私の認識していた「浄土宗」に至る系譜は浄土に至るための手段として念仏を主体とする一群だった、ということになりそうです。
うん、空也念仏宗教の最初期の一人くらいまでは辿り付いていたんですが、だいぶ正直なところまだまだでした。
それとあと、浄土信仰の中に奈良の春日大社の地に浄土が存在し(春日山の地下という認識でいいのかな)、その「春日信仰」の形を示すための絵図というものもあったのでだいぶ驚きました、あのいや、一応春日大社は隣接する興福寺との関係でそれなりに資料を読んできたつもりだったんですが、だいぶ基本的な情報なような…初耳なのはさすがに辛い。
ただ、考えてみるとそれらしいことには触れていたような気もしないでもないんですよね、春日大権現の権限がどうのとか…やっぱりややこしいな神社。
 
他にも浄土に至るために迎えに来る菩薩その他の集団が描かれた画なども大量に存在していたんですが、年々到達の速さが求められたとか…なんとも世知辛い話だよなぁ。