「大蔵省−官僚機構の頂点」川北隆雄

前に同じ作者さんの(レーベルは別)「日本銀行」を読んでいるのですが、その時は正直、日本銀行の中立性を乱す上位機関! という嫌な感じだったんですが、現在も絶対的な“お財布”としての地位は健在なものの、2年3年でころころと地位の変わるキャリア官僚は何年も同じことに関わっていられる与党自民党の古株政治家に適わず。
そもそも潤沢な財政を背に、強い影響力を有していたそうなのですが。
(それより前は赤字国債という借金が前提じゃなかったから、金がない! ということで相手が引き下がらせられたんだってさ。)
緊縮財政でもって彼らの裁量の及ぼせる範囲は減り、アクの強い政治家が恫喝でもって名目をもぎ取って行ったのちに実質的な基盤を作られ、その影響は今も延々と引き摺らなくてはならないのだと言います。あー、欧米系だとまだ引っくり返るんだけどね。
(でもそもそも、大蔵省が強いのも、戦前は陸軍と内務省という組織がライバルだったところが戦後その二つが廃止され、解体されたからという歴史の流れですしねぇ。)
とはいえ、海外の同系統組織との比較では、アメリカは財政関係の権限が大統領に属しているのであまり強くなく、欧州は日本より強いよー、とのことで違うんですが。事実上の一党独裁だという条件が違うということなんでしょう(日本の場合、与党に勝てない)。


で、この本、そもそも1988年の本なので、「赤字国債なくせるかも!」とか消費税導入3%! とかそんな感じの世代です、あと、市場の自由化とかぽちぽちやってます。
この後にバブル崩壊が来て、消費税5%が来て。
えーとあと、アジア通貨危機なんてのも来るのか、赤字国債なくせたら大蔵省の地位は少しは戻るだろう、という目論見もあったようなんですが、今は昔の話だなぁw