「カラシニコフ(2」松本仁一

もともと著者さんご当人がアフリカと中東専門のジャーナリストの方とのことで(しかし、あの偽造カラシニコフの村の取材とか、本当に日本で流れてるんでしょうか;)、この『カラシニコフ』もその地域を扱った1巻のみの予定だったようなのですが。
あの本を出したのち、「他の地域も扱ってくれ」という要望に答えての2巻め。


大雑把に地域以外の差異があるとすれば、どちらかというと、中南米(が主でした)に暮らす一般の人々、というわけではなく、カラシニコフそのものの流通ルートに、武器輸入を代行しているアメリカ系の得体の知れない会社に、中南米の政治家たちの裏の姿や、それに巻き込まれてしまった人々(ペルーの日系元大統領フジモリ氏の一件ってこういう話だったんだ;)、そして映画のモデルとも噂されている“大物”武器商人などなど。
正直、この巻もこの巻で結構面白かったんですが。
わりと普通にジャーナリストっぽいというか、どちらかというと地域密着で視点が低かった1巻とはその辺もテイストが違ったようには思います。中でも自分に対しての「濡れ衣」に関してはっきりと公式に文句を表明、結果国家単位で行われていた巨悪を暴くことになった“大物”武器商人に関してそれほど嫌いではなさそうなのはまあご愛嬌。
実際紛うことなき「死の商人」ではあるのですが、なんつーのか、ちょっと気持ちはわかります、この人自身を責めても仕方ない気はどうしてもするんですよね。
中南米でカラシニコフと取り引きされているのは麻薬で、ちょうどアフリカの地のダイヤモンドと同じメカニズムになるわけですが、ここでちょっと違うのは麻薬の食い物になっているのがその当の取り引きに関わるアメリカの若い世代、何故そんなことを? と著者さんは問いかけるのですが、本当に一体、なんでそんなことになってしまうんだろう。