「“頭脳国家”シンガポール」田村慶子

すごく正直にこの国のやっていることは、物によっては他国には到底当てはまらないのだとしても「正しい」のだと納得も出来ることもあれば、いくら独特の事情があるにせよ、薄気味悪いというか人間としてどうだろうと思うこともあるのですが。
些かゴシップ記事めいていて、読みやすすぎるんじゃないかなー、と思った(文章に煽る調子はないです)本の構成も、読み進んで行くにつれて、どう考えても偏見を免れないのならばいっそ正面から取り組んだほうがいいか、と考えることが出来るようになりました。
いわく「低学歴者は子どもを減らし、高学歴、特に高学歴の女性が多く子どもを生み、優れた遺伝子を提供すべきだ」という考え方のもとに実行されている一連のプログラムとか。えーと、その、全国民に対する家畜扱い宣言? にゃ、理屈が間違っているとは思わないんですが、なんで受け入れられると思ったのかわかりません。せめて明言すんなよ。。。
あとは一党の事実上の独裁を保つために、野党を犯罪者扱いするところでしょうか、選出した区域は住民サービスが受けられなくなります。一党独裁のがマシなのでは。


とはいえ、彼ら、特にリー・クワンユーに国を害する意思は毛頭なく。
政治に携わる人間の徹底した管理、汚職の防止、そして能力さえ優れていれば“それ以前”の出自は全く関係のない扱い、要するに己らにも「管理」を施しているんですね、生まれがよくてもそれで優遇されることは全くありません。そこは立派かなぁ。
もともとマラヤ州という今のマレーシアと一緒にイギリス支配だった土地で。
イギリスから独立した後にマレーシアに捨てられ; なんも残らない一都市でしかない国家をアジア有数の都市にまでのし上げるのは並大抵ではなかったのでしょうか。
しかし、すでに豊かな国民が、今後どこまで我慢できるかな、とも。