「私のニジェール探検行−マンゴ・パークの足跡をたどって」森本哲郎

サハラ砂漠に魅せられた探険家さんの本で。
ここのタイトルはどちらかというとニジェールという川の名前、北アフリカのマリからニジェール(国名)を通過してナイジェリアに至るサハラ砂漠を、砂漠で生きる民族・トゥアレグの案内者のもとで辿る旅、いや、トゥアレグ以外の登場人物ももちろんぽちぽちあるのですが、読んでみればわかりますが存在感が圧倒的です。
(正直、出てくると森本氏が彼のことばっか語ってますw 気持ちわかるww)
そして彼の今回の旅はイギリス人探検家であるマンゴ・パークという人物の手記、その人物が死んでしまった時、現地の案内人の手でなんとか持ち帰られたメモのような断片、“最後の旅”を再現しようとするもの、なのだそうですが。
マンゴ・パークが生きた時代は主に西欧の国による≪奴隷貿易≫のための現地人の徴用が行なわれており(別の人種である現地人の手で主に行なわれていました)、けれどその“買い手”と同族であるはずの白人の探検家に向けられたのはほとんど売られる寸前の女性たちの温かい同情の手、今に至るまでまるで変わりない民族的な優しさ、自身にそれほど欲があるわけでもなく(探検の果てに命落としてるしねぇ)。
その情景をなんの偏見もなく書いていた彼は、しかし本国の悪口は一言もその記述の中に滲ませていないそうなのです、それどころか、人身売買が仕方ないことであるとまで。それが本心であるかどうかはもう確認のしようもないのですが。


サハラ砂漠はトゥアレグの手によってのみ井戸を見つけ出すことが出来。
彼らは道なき道を岩塩を運び行き来し、そこから追われそうになっては武器を取り、案外、遠い国の闖入者も砂漠の外から来たとしか思っていないのでしょうか。