「「禍いの荷を負う男」亭の殺人」警部リチャード・ジュリー1、マーサ・グライムズ

「禍いの荷を負う男」亭の殺人 (文春文庫 (275‐29))
本を読む前からメルローズという名前は聞いていて(男か女かすらよくわからなかったのだけれども、実際この名前ってどうなんだろう、他で聞いた覚えはないですが)、どんな人物なのかな? と漠然と想像していたのだけど、なんとなく実際に読んで納得したような気もしないでもない。
なんというんだろう、ジュリー警視(私がこの本を手に取った時点の版ではシリーズタイトルも実は警視だったんだよね、その後昇進したのね)との出会いの段階で「印象的な緑の目」というような形容詞がされているのって本当に必要だったのだろうかとか。
この後、極めてあっさりと友人関係を築いた挙げ句に長い付き合いになるんだけども、友情の一目惚れを読まされたような妙な気分ではある。人柄や位置関係からそもそも特に誰が疑ってるわけでもないのだが、出会ってすぐに庇ってどうするんだ、警視。
ただ、どう表現していいものか、読者勢がメルローズに非常に好意的なのでエンターテイメントとしては特に問題はないのかもしれない、シリーズ通しての登場は大概偶然が過ぎる理由だし、偶然でない時はなんだか酷い内容なのだが、出てきてくれないと寂しいので別にいいのかもしれない。


事件が面白いのかというとそうでもなく、奇妙な場所で奇妙に殺されていく人物たちというのも、そもそもその状況が土地の伝承に絡んだ見立てになっているものの、その謎解きをした街の物知りな好事家が普段から村の住人たちに吹聴していた内容だ、というのでは迫力もなにもない気はしている、せめて気付くのが好事家と別人なら良かったんだけどなぁw
あと、登場人物が多すぎてかなりごちゃついていて数人しか覚えていない。
事件に至るための動機その他犯人に関しては記憶すら残っていない、ただ、どうもこの作品はその読み方で正しいらしい。緑の目のメルローズ氏はとても魅力的だった。まる。