「物語 バルト三国の歴史−エストニア・ラトヴィア・リトアニア」志摩園子

バルト三国”というのはもともと、「政治的に同じ立場にいる国」がWW1の前に連係せずに動いたことを嘆くところから概念が生まれ、まあ要するにソ連邦に組み込まれたのち、その干渉が緩んだ頃にもともと縁のあった北欧の国(エストニアフィンランドとつながりを保ち続けました)(ラトヴィアはロシア民族が多く、リトアニアは東欧の大国のポーランドと歴史的につながりがります)(まあこの時点でばらばらだね)の力を借り。
ソ連邦の揺らぎの中で最終的に独立を勝ち取った、というもので。
文化的に昔から一体感があったかというとそんなこともないようです、というか言語も違うし民族構成もばらばらだし、現在はエストニア・ラトヴィアが海外資本を入れて工業化しているのに比べ、リトアニアは農業国である伝統のためか遅れているそうな。
(それが即悪いってことはないと思うけどねー、そもそも農業国であるからこそ、他の国より余裕のある態度を取り続けられたってこともあるし。)


ロシアとの交渉もそれぞれで、ラトヴィアはロシア人を国内に多く抱えて妥協せざるを得ず、エストニアはわりと強気、リトアニアは不凍港であるロシアの飛び地“カリニングラード”への行き来のためにロシアがむしろ友好関係を保ちたがっているのだとか。
んー、ぶっちゃけて、対欧州への態度としてのバルト三国という単位なのかなぁ。
まあ、欧州のみならず世界的にもその意識が強く、バルト三国のことは知られていても若干各国の知識がないのが標準的だったりするそうですが(時々面白ニュースには出てきますw)、ある意味で政治的な宣伝媒体だったとも言えるのかなぁ。
歴史的にドイツ人、ロシア人の影響を受け続けた欧州にとってのロシアの盾。
「物語」とタイトルに付いてるわりにはやたらとシビアな本でしたw