「勝者の混迷(下」ローマ人の物語7、塩野七生

けどまあ、スッラの後継者たちがスッラの"意図"、寡頭制、元老院制度の維持擁護というところを理解していたかなぁ、というと若干疑問で。
元老院と対立する市民代表の護衛官の権力低下のための布石くらいとしか思われてなかったんじゃないかなぁ、というか、塩野さんみたいに一覧にしてみれば一目瞭然なんですが(あくまで元老院制度そのものの評価であって、元老院のメンバーへの好意じゃなさそうだしねぇ)。
つーか、誰かがまとめないとわかりにくいんですよ、スッラさんの行動真意。
もう少しあとになるとキケロとか小カトー(頭脳の人だと思いますよ?)とか出てきますが、正直スッラ以外に同時代に「頭脳」の人いなかったような気もしますし。
(味方や、同陣営はもとよりライバルにすらも)(殺されちゃったのかもなぁ。)


で、彼の後続たちがなにをやったかというと特権をむさぼりました、相手は当然取りやすい元老院。あと、武将としてはそれなりの能力を持った人物は多かったようですが、全て小粒で、武力を背景に事を有利に進める程度の力はあるものの、特に展望もなく。
勢力基盤とするためにそれ以前に弱い立場にあった層(元老院と対立する市民、この時代にはローマ市民権を得ていた元ラテン市民)を優遇、元老院の勢力を削るという体たらく、いや、別に悪気はないと思います、悪いことでもないしね、スッラ体制と反するだけで。
その上、スッラが元老院に組み込んだ“騎士階級”も台頭。
(騎士といっても実質は商人っす、兵力を負担できるだけの財力持ちという意味。)
そろそろ多分、次の時代が始まるだろう地盤が出てきた中、登場した名前がカエサル
個人的に、旧勢力が揺らいだら次に出てくるのは指針だろうと思うのですが。
スッラが望んだのが国の安泰なら、逆向きの発展もありっちゃありなんでしょうか。