「ルビコン以前(上」ローマ人の物語8、塩野七生

この巻で一旦、一世代前の“マリウスとスッラ”の時代へと巻き戻り、そこで若い頃の記録がほとんどないというカエサルという御仁を、当時のローマの習慣やいくばくか推測を含めて語る、という内容なのはいいのではないかと思うんですが。
次の世代にあたるカエサルは当然のことながら若年、弁護士キケロも有名ではありますが政治家としては準備中、ポンペイウスは実力十分ですが軍事遠征中。
なんちゅーか、読みにくくはありました、塩野さんって民衆寄りの人じゃないよね。
(少しあとの時代のセネカのことを教養があるために冷たい人物、と表現してましたが、塩野さん自身にも若干その気があると思う。)
あとちょっと言葉で褒めすぎ、凄みは「感じ」させて欲しかったかなぁ。


まあ、ぶっちゃけまして美男というほどではないものの大層女にモテるいい男で、洒落者のためかなりの借金を抱えていたらしいものの、あまり人望のないローマ一の金持ちであるクラッススが、なぜか後見人であるかのように他人の借金まで背負って助けてくれるという(真面目になんでだろうね、これ)。
とはいえ、先行投資なら別に裏でこっそりなんて必要もなし、最初から資金援助すればいいだけなので、まあ、なし崩しで縁が出来たというのは妥当なんでしょうか。
でもそこらのシロウトじゃあるまいし、借金が膨大になる前に「損切り」くらい可能よね、カエサルさん個人への期待か見返りか、案外投資的意味合いも皆無ではなかったのではないしら、と個人的には思ったんですがどうなんだろう。
(でも女にモテた理由はあれでいいと思いますw 女にプライドがあるって認めたがらないよねぇ、大抵の男って。)