『美の巨人たち』土屋輝雄「鶏舎」(日本)

土屋輝雄
(1909−1962)


息子はわりと有名な(というか聞いたことある)日本画家、孫はなんかミュージシャンみたいですよ。サラブレッドというより、なんか粘り勝ちという単語が頭を掠めるのはなんでなのか。正岡子規のがずーっと有名なわけですけどね。
でもなんか、ほとんど生涯を床ですごさざるを得なかったのはこの人で。
冒険といえるのが片足でこぐ自転車での近くの河原へのスケッチ、近所の子どもたちに絵を教えるのが無上の喜びとなっちゃあなんかこう、スケールみたいなものが違うような気がしてなりません。


うん、だからまあテルオさんのが小さいんだけどな、スケール。
ただそれが優劣になるかっていうとわりとそんな気もしないわけで、鶏を好んだのはきっと彼が生身で見れる中でもっとも生命力に溢れてるというかぶっちゃけ、一番獰猛だったからではないかという気もしてしまうわけですが。
手の届く範囲ってのがもう本当に少ないわけなんだけれども。
そこに悲壮感は感じない、息子さんに掛けた期待にはちょっと悲しいものが混じっているような気もしますが、けれどそれを語る息子さんにその影はない。そんな環境なんだけれども、彼にできる精一杯に周囲を愛し絵に描くことが出来た。そこにいなくてはいけないと血を吐くように言い聞かせていた正岡子規とは違う気がするのですよ。やっぱり。
命の記憶って受け継ぐことって出来るものなんでしょうか。