「くそったれ、美しきパリの12か月」スティーヴン・クラーク

あくまで小説であってノン・フィクションではないのですが、いわゆる解説にも「どっちかわからん」というようなことがわざわざ断ってあるように、なんとなく居心地の悪い思いを多分皆するのではないのかな、というか、アメリカ人の“悪友”が出来た辺りが転機かなぁ、ということは思うんですが、そこまでちっっとも読み進められやしねぇ。
(むしろノン・フィクションなら割り切れるのに、とも思ってましたが、後半に関してはこれはフィクションならではないかと思います、一年ちょっとで濃い展開だなぁ。)


一言で言うとイギリスの田舎出身のロンドン在住、腕利きの“フランス風カフェ”(ということを改めて記述してみるとすっげーなにかが疑わしい)をオープンさせていたプランナーが引き抜かれてフランスの首都パリに行き。
街中に転がる犬の糞をどうやったら踏まなくなるか、フランス人女性とどうやったらよろしくやれるか、そもそもどうやったらレギュラーサイズのコーヒーを喫茶店で注文出来るのかな(頼み方が間違ってると思わなかったのは無理もないんですが、差別されているのかという勘違いは自業自得でしょうか)、というレベルからまず悪戦苦闘する、しかもかけらも仕事進みゃしねぇ、というなんとなく笑い事ではない本です。
異文化交流、というほどには遠くないんだよなぁ、今はトンネルで2時間だし。
でもこう、下手に隣国って下手近い分案外誤解解けにくいですよね。
むしろ、別にどうでもいいじゃんな、という方向に開き直って流されてしまうんじゃないでしょうか、それぞれの国の境で苦労していたはずの人たちは。
ところでその、帰国をせずに定住の方向で心を決めてしまったらしいのは、もしかすると食事が原因だったりするんでしょうか、味覚ってやっぱり後天的なのでしょうか。