「フランスの外交力−自主独立の伝統と政略」山田文比古

国連さん(無駄に敬称が)の安保理・常任理事国の一国の外交の本。
巨大すぎて結果的に調整役には向かないアメリカ、社会主義国であるために否定的意見が多くなりがちなロシア、中国などと比べて外交が活発で、軍事ともなると米国と足並みを揃えがちなイギリスとも違って独自の倫理で動く、という特殊な国で。
しかしよく考えてみると、よくも悪くも常になんらかの形で世界の一角を担ってきた他の国と並べてみると些か見劣りがしないでもなく、なんでもフランス自体がそのことを自覚しているがゆえにむしろ、「大国としての外交」を行うのだそうですよ。
むしろ、外交で大国として振舞わないと立つ瀬ないという意味でしょうか。
(ちょっと意訳しすぎた気はしないでもないですが、間違ってはいない気も。)


とはいえ、国連の本のほうでも文化的な影響力は強いから妥当だよ、と言ってましたのでなによりです、確かにフランス語が公用・通用する国って多いですよね。アフリカとの関係は、どちらかというとフランスが意識して維持しようとしたようなのですが。
まあ、時代によって形を変えつつお互い様、というだけのことはきちんとしてきているのではないでしょうか。もちろん自国の影響力のためではあるのですが。
対アメリカの意識が独特で、痛い目にあってれば助けてあげるんだけど他国の攻撃には賛同しない、という(それはいいことのような気もする)。第二次世界大戦の時に蹂躙された記憶のためか核兵器に対しての期待が強く、そういや核実験していて非難浴びてましたっけねぇ、とはいえ自衛のため、というのはきっぱりしていて、ある程度以上はいらないと。
ふーん、シャルル・ド・ゴール大統領がこの路線を決めた、と言っていいのかな。
多かれ少なかれ、外交も国そのものも彼の姿勢を踏襲しているそうなのですよ。