「ルビコン以後(中」ローマ人の物語12、塩野七生

なんというのかカエサル自身が「悪い」とは思わないものの、なんで殺されてしまったのかは正直わからないでもないな、というか、なにを計画(実際にはこれ、次世代のものであったわけですが)してるのかがさっぱり知らされていなくて。
なにか盛んに既存勢力(>元老院)の弱体化を計っていることだけがガラス張りかぁ、、、正直、私が古代ローマ人であっても薄気味悪かったような気もします。
これでまだ、特定機関の強化というのなら、好ましくはないものの、なにをしようとしているのかと悩む必要もない。そもそも王政(帝政ですが)へのアレルギーはローマにしたところでそんな珍しいわけではないわけですし、寡頭制から帝政って、うーん、ひょっとしたらある程度は自分の死も織り込み済みだったんでしょうか。
つーか、上に挙げた条件って「身内に殺された」理由にはなりますが。
どの道誰かしらには敵意持たれていたのかもなぁ、とも思います。


敵側の総大将、ポンペイウスの死後のほとんど総崩れと表現するのに相応しい、極めてざっくりした内戦の様子と、カエサルの暗殺の直前までの巻で。
次世代の“準備”が一体どんな形へと結実していくのかはまだ誰にも見えていない、というか知らされないまま。
私には、キケロが哀れにしか思えないんですが、塩野さんは違うんでしょうか。
実際廻り始めた「帝政」というものが、オリエントの専制君主とは少し違う、元老院に資格剥奪される、もしくは殺される、という形で絶対でなく運営されていたというのはわかるんですが、それをこの時期、この時代に把握しろってのは無理じゃないでしょうか。
彼が、いつまでも迷っていたのは優柔不断でも、それって良心だと思うんだよなぁ。
なんとなく常に東西の混血児、コサックにも遊牧民に近いイメージがありますねぇ。