「クローヴィス」ルネ ミュソ=グラール

まあ大雑把に言ってしまえばほぼ現在の“フランス”の地に、最初に国を打ち立てた(それ以前にローマ属州ガリアの地は存在するわけですが)(中心となっていたのはどちらかというと南仏の地で、この王国以降もそれは長い間保存されていたのだとか)フランク王国の初代の王・クローヴィスの本で。
なんちゅーのか、史料が事実上『歴史十書』しか存在しない時代。
(しかもこの本を書いたのはローマ系の血統の司教さんなので、申し訳ないながら多少の偏りは仕方ないというか、無理もないよなぁ、というか。)
(幸い、忙しかったわりには頑張ってるなー、正確だなー、という内容ではある模様。)
他に出てきたのが彼の副葬品である東ローマ・ビザンツ帝国の金貨くらい、ともなるとなんというか一冊にまとめるのが難しいような気もしないでもないんですが。
それにしたって、アリウス派(異端説)とニカイア派(後のカソリックです)の対立にあんなに延々とページを割かれても知らないよ?! とは思いました、さすがに。
フランス人著者の本ってわりと冷静だと思うんですが、宗教関係はどうもな。。。


いやでも、なぜアリウス派全盛の時代にクローヴィスがカソリックを選んだのか! というのは、まあ、出会った司教さまがよろしかったんじゃない? なんとなく伝わってくるだけでもなんか魅力的だし、レミギウスさん、あと、勇猛で聞こえたフン族の侵攻に対し、自力で船漕ぎ出して包囲網を突破、食料を手に入れた聖女ジュヌヴィエーヴもいいな。
要するにあれだよね、カソリックの嫁がいいなー、ってのはそういうことかなぁと。
司教さんはそれが可能でも布教しなかったんだよ、それなのにカソリックを選んだんだよ、とか熱意込められても。むしろ押し付けがましくないのが良かったんじゃないかなと。