「メロヴィング王朝史話(下」J.N.オーギュスタン・ティエリ

上巻で一旦ネウストリア王キルペリク(諸悪の根源? フレデグンデ王妃のような気もしますが、この方元奴隷ですしねぇ、ある程度の足掻きはしょうがないっつーか)が亡くなったところまで時代が進んでいたんですが。
ここで次の代に、ということはなく、主にこの時代にあった兄弟国の確執以外の細々とした出来事、中には『歴史十書』の著者であるトゥールのグレゴリウスさん当人が巻き込まれた陰謀事件なんてのもありましたね。
このキルペリク王は元々グレゴリウスさんのアウストラシア分国の主君を殺しており。
支配地域が変わっても、そうそう従うことが出来ない、というのも十分理解できるのですが、そう差し引いても、うーん、なんとなくデタラメな面はあるかと。学問関係に関してはちょっとこの人の評価はアテにならないね、というのは納得なんですが(もともとグレゴリウス氏が教養の高いガロ=ローマ系なので見る目も厳しいしねぇ)。
ものすごくぶっちゃけて、王妃フレデグンデのほうが人物じゃね? というか。
彼女のとことん腹の据わった根性は、あれはあれで立派に評価できる気がします。
特に真正面から褒めていたのが軍が迫り「逃げようか」と夫である王が言った時の、地位が転落してまで生きていたくはない、という返事で、うん、この後軍勢そのもの立派に立て直したのは彼女のおかげとしてもいいと思います、私も。
正直、グレゴリウスさんも評価に至る寸前までいっていたようなのですが、租税のための住人台帳の作成しなおし、ということですっかり悪評価に転落、正確なデータによる租税って自体が悪かというと、特にそんなこともないような気もするんですけどね。


他にイタリア詩人と女子修道院の話なんてのも面白かったかしら。