『美の巨人たち』オーギュスト・ロダン「接吻」(フランス)

オーギュスト・ロダン−Wikipedia
(1840.11/12−1917.11/17)


一通り聞いた段階で「ああ、高村光太郎か」「東京には空がないね」と会話を交わすのはとりあえず一般レベルの日本人で充分ではないのかと思うわけですが。想像からあまり外れなかったというかなんというか、ローズ(糟糠の妻)はどうなったんじゃい。
ということが気になった私は少数派ですか。
ローズに連れ去られたんじゃないよ、カミーユから去っただけだよな!
単に安楽の地みたいに扱われてるローズさんに同情するも、まあ帰ってきたからいっか、と考えておられるような気もしないでもないわけで。この世に健気な女以上に強い人種は存在しないと信じているというかれっきと事実だとは思うんですが。


正直に、ロダンとカミーユの作品を見ているとロダンのほうが華があり。
写実力や腕ならばともかく、あんな作風の人にその部分で負けてしまうというのはカミーユ(女弟子)も切なかった気もするわけですが。ロダンはロダンで「自分の作品が変わってしまう」という苦悩があり、結局それでもって彼女を切り捨てることになったのか。
ロダンは醜いともいえる本質を終始描こうとした芸術家だったらしく。
そのほとんど唯一の例外ともいえる愛の形、≪接吻≫は若く愛する美しい弟子と二人で作ったもので(実際の作業より、カミーユの間接的な影響のほうが大きそうだ)、美しいがなにも得られなかった、とロダンは言うわけなのですが。
でも本当にそうだったら、苦悩も排除することもないと思うんだよね。少なくとも。