『美の巨人たち』耳鳥斎(松屋平三郎)「別世界巻」(日本)

耳鳥斎(にちょうさい)
(1751?−1803頃、要するに生没年不明)


謎というより、上方・大阪の芸術そのものが美術史から外されてしまい。
そのために昔は北斎と並び称されるほどの人気があったらしいというのにとんと人々の記憶から薄れ、忘れられた存在であったとも言われるのですが、まあ、本道に乗っからなかったのはわからないでもないというか。
漫画だよな、どっからどう見ても漫画の系統ですな。
いわゆる鳥獣戯画の少しあと、最近の人だと(数世代前を少しとか最近とか言うと紛らわしい)、岡本太郎のお父ちゃんが漫画の源流だと言われてますもので、彼らに影響を与えたのだというと、まあまさしく現代の代表的な娯楽の元祖となるような。


要するにまあ、点目がいかんと思うんですよ。
口をぱかっと開けて悲鳴を上げる寸前だとしても、目が点だと笑ってるのと区別つかないんですよ、大根と一緒に煮られる寸前の役者なんか絶対嘘泣きですよ。煮られてるほうは絶対喜んでますよ、大根のせいで温いんじゃないでしょうかアレ。
各種職業の地獄、というのを大絵巻で展開しているわけですが。
駄目なんですよ、地獄絵はこうでなきゃ! とかそこに恐ろしさを感じて、とか説明は入るんですが無理ですよ、だって笑ってるもんなんか。どっちかというと、理不尽なことさせられる時のこと思い出すんじゃないでしょうか。
そしてまあ、生き地獄だとしても、我々は案外笑うくらいしかないと。