『美の巨人たち』狩野永徳「唐獅子図屏風」(日本)

狩野永徳−Wikipedia
(1543.02/16−1590.10/12)


この人は“大作”の絵柄を見ただけでなんとなく、細かいものが好きなんじゃなかろうか、という気がしてならないわけですが。現代の画家にしたところで大作は技術の証であるらしく、まあ、でかいものが(多分“きちんと、狂いなく”という観点かなと)描けるという時点でそれなりの評価はされるということらしいんですが。
だってなんかさあ、この虎(獅子です)も、顔は厳ついけど真面目そうじゃね?


そもそもがこの方、数々の権力者に愛された、ということなんですが時は戦国。
とにかくまあ、大作は権力者ご本人とともによく燃えたそうですよ、この唐獅子も、なんとか余所へのプレゼントとなって生き残ったそうですが「ちょっと上下切られちゃってるかな?」とのことでなんというか、切ないです。
いや逆にそこは、お前よくぞ無事で生き残って! と思うべきなのか。
とはいえ、技術に関してはちまい絵を見た段階で充分伺い知れるのはさすがで、とにかく描き込みに描き込んだ京の都の風物に各階層に、四季折々の行事。たった一枚の屏風に収めるのには贅沢なくらいの内実で、この絵を見たら、多分人も絵も本当に好きじゃないとここまで出来ないよ、と皆思うんじゃないでしょうか。単に仕事じゃない気がする。
くねる梅も巨大な唐獅子も、多分祖父元信氏の画風を真似たものではないか、という話も聞いたことがあるのですが。なんかこう、品があるんだよね。
生きやすい時代だったとは到底思えないんですが、優しい人だったんでしょうか。