「「民都」大阪対「帝都」東京」原武史

話はまあいきなりお召し列車だか行幸だかから始まるのですが(要するにこれが明治天皇の場合by関東)、それが大正天皇の時代に関西域まで及び、その時点では概ね国鉄路線のみを使って行われたそれが、次の昭和天皇の時代までに一部私鉄を利用するようになっていたよん、とかその日のために大阪市が道を作り、その下に地下鉄を敷く、ということを断行していたよ、という流れを説明する体裁の本で。
正直、個人的には上の流れがメインだったのではないかと思うのですけどね。
一応東西比較が論旨とはなっていたようです、ただ個人的には確かに「民都」的な鉄道会社であった阪急の中心人物である小林一三氏は関東出身の人であって、その彼が国鉄との争いにほとんど陥れられるようにして負けていった、という展開になってしまうと、タイトルである民都である大阪、帝都である東京というテーマにはなんとなくの違和感が。
大雑把に関東に国鉄vs私鉄の構図は確かに存在はしなかったとは思うんですが、それはどっちかというとその阪急の弟子のような存在である東急のせいというか、あれが私鉄しか興味なかったせいというかw
国鉄に競争力があったかというと、逆に特にそんなことないからなぁ。
(山手線の優位だけは認めますし、そこに私鉄が大人しく接続していることをもって官営主導と結論付けていたのですが山手線ターミナルの開発そのものがほぼ私鉄だよな。)
関西のほうが国鉄元気良かったんじゃないでしょうか、少なくとも戦前は。


どっちかというと関東の交通路のほうが整備されていない印象で、関西の交通路のほうが国とか市とかが作っちゃった部分が多いという真逆の結論に。
とはいえ、真逆の結論を出せるだけの度量のある本は悪くはないかなぁ。