「懐かしい風景で振り返る 東京都電」イカロス出版

かつて東京の街をチンチン、という音を鳴らしながら走った路面電車の本。
基本的には路線ごとの街並みなどが話のメインだったと思うのだけれども、昭和17年に集中した幾つかの組織改変や、周辺の私鉄なども巻き込んだ戦時法が語られて、その翌年に「都電になったんだよ」というそんな展開。
そもそもこの東京都という呼称自体、戦時下に生まれたものだったような。
ちなみに昭和17年が1942年、翌年が1943年。戦争自体はそののちすぐに終わりはするものの、1400台中、600台だったかを焼失してしまい、しばらく輸送超過の時代をすぎて昭和30年頃に都電最盛期を迎え。
いくつかの段階を経て昭和47年までに現在の都電荒川線を残して全廃。
(この路線は道路と併走していない専用軌道という運送形態がほとんどだったので、そもそも代替バスが準備できないとか、その他諸々の事情があったようで。)
まあ個人的には専用軌道ならともかく、東京に路面電車って地域によってはかなり無理があると思いますけどねー、私鉄すら地下高架複々線がところによって当然って時代に生まれてしまったので、正直著者さんの嘆きには同調出来ない部分もあったかなぁと。
ただ、荒川線以外にも生き残れた条件の路線はあったはずだし、オイル・ショックの時代まで生き残ってたらエネルギー効率は良かったから別の道があったかもしれないのにという部分にはかなり同意。いまいち冷静とは言いがたい状態ではあったみたいだしね。


別の本でも感じたけど、戦後は路線の愛称よりもどっちかというと路線系統のほうが一般的だったのかもなぁ、基本的には都電である時期をメインにして、少しだけその前の視点を交えたといった本だったかな、都電本は写真はだいたいきちんと揃えてるよなw