「平らな国デンマーク−“幸福度”世界一の社会から」高田ケラー有子

不思議なくらい丁寧で、ほとんど口語そのままではないのかな? という文体だったのですがこれがなかなか読みやすく、そして全てに丁寧な本でした。
39歳で再婚でデンマークに嫁がれたという芸術家の女性。
まあ要するに息子さんの成長に合わせて様々な制度を利用することになったんだよ、という実体験から語っていながらデンマークという国全体のことに徐々に踏み込んでいくのが上手いなぁ、というかセンスがあるというんでしょうか。しかしご夫君のお母さんが離婚二回でもって「実の父・二度目の父・三度目の父」が全員彼女との結婚式に来ていた、というのは純粋にびっくりしましたw そして兄弟関係がすでに様々な上に養子を引き取っていてそれで女性が独り身であっても(つまり離婚をしても)生活していくことが可能であると信じられる国って、よっぽど元の福祉制度がしっかりしてて信頼があるんだなぁ。
そして彼らは、夫婦関係は継続されなくてもその後も人間として付き合い、親子はずっと当たり前のように親子である、という意識であるそうです。生活の全てがそんな感じ。
あと、欧州の中で対日本への輸出が唯一輸入に勝っているって、ちょっと別のところに驚いてしまったんですが、そうなんだ; デンマークは生活全体が創意工夫に満ちているというかあまり物欲に拘らなさそうですかも。日本は工業品か娯楽中心だしね。


公立・私学への分け隔てない教育制度への徹底した支援と、各々の独特の能力に応じたクラス進級に、出入り自由の諸大学、学ぶことを楽しくするためのいろんな遊び。クマとサルの入院の話はちょっと驚きましたが面白かったです、病院が協力するんだw(マスコットのぬいぐるみが入院してしまった、という内容のレクリエーション)
なんていうのか、ささやかな意味で自分に誇りが持てる国なのではないかなぁと。