「現代の百貨店」小山周三

そもそもデパートメントストアという単語を“百貨店”と訳したために日本の百貨店業態は負担を強いられたのではないか、というのが語られていたのは確かこの本だったと思うのですが(曖昧ですみません、大抵数冊は同系統の本を読むもので;)、アメリカのデパートが日本のようなスタイルのみかというと、もっと自由な形態が多く。
個人的には総合スーパーみたいな感じのものもデパートに括られているんだなー、ということを感じたのですが、翻って日本の百貨店は大変にコストが高く。
そのコストに対しての利益が現在、非常に薄い、という逃げ場のない状態にあるというのがこの本の概ねの主旨で、強いところがないわけでもないんですけれどもね、伊勢丹なんてのはわりと褒められていることが多いですし(徹底した顧客重視、ただし、あくまで百貨店のパイの中での顧客って気はするなぁ、それでいいんだけど、今までの百貨店業界が作りあげて来たパイのかなりの部分を一人で取って存続している風情、百貨店全体が凋落した時には結局のところ長く生き残るとしても道連れは免れないのではないかと)。
(むしろ生き残るのは電鉄系の「百貨店ぽくない」ところなのかもね)
(とはいえ、百貨店全体は2011年現在それなりの盛り返しを見せております。)


で、コスト高いとか利益薄いとか、利益出ない商品まで抱えなきゃならないとか、そういう面をあまり直視してない構造になっていたんだよねぇ、ということになるとさすがに門外漢にもちょっと読んでて辛くなってくるんですけどね。。。
1970年に初版、1997年に重版を重ねた、とのことなんですが、今も多分構造欠陥として似た部分は抱えているんだろうなぁ。コスト高いってのはもう、さすがにどうにもならないことですしね、結局、対価に見合うなにを提供するかって話なんだろうなぁ。