「阪急電車青春物語」橋本雅夫

“阪急”のイメージというと、私はその手の話に疎いもので特には知らなかったのですが、溜色、マルーンの車両、かつて持っていた野球チーム、さすがに知っていた百貨店。
ちょっと鉄道を齧っていた辺りで、東急の五島慶太氏が尊敬していたのだという小林一三氏が経営建て直しに尽力したところだよ、という話や、高級なイメージのある沿線や、不動産開発のもろもろ、同じく沿線に作った遊興施設にのちの宝塚歌劇団の原型となる少女ばかりの出し物を思いついた、ということなどを聞きまして。
あとはかなり漠然と、併走地域のある阪神電鉄と仲が良くない? という程度。
ちなみにこの本は1996年の刊行なので、その後、2006年に行われる阪急阪神の合併劇のことなんて知るはずもないんですが、まあ、この時点であんまり過去のこと引き摺ってるようではなかったような気もしたかなぁ。


んで、この本を読んで地味に感じたのが、高級イメージがあるわりにはどうも鉄道関係の施設には資金を注ぎ込まなかった? もしくはその余裕がなかったのではないかという部分で、どうもその部分だと阪神のほうが微妙に上回ってるっぽいんですよね。
阪急電鉄が拘っていたのが車両が例え木造であっても、手入れを欠かさず、内装には少しばかりの華美さを、というところだったらしいので、ある意味でイメージを売っていたということになるのかなぁ、と思えなくもないんですが。
だから悪いかって言われたら、あくまでお客さん商売ですしね、満足感を与えられる部分に力を注ぎ込むのは少なくとも悪いことではないですよね。
この本自体は元阪急電鉄の社員さんのもので、エピソード中心ですが、まあ、全体的なコンセプトはそれでもなんとなくわかるんじゃないないのかな。