「スエズ運河」酒井傳六

こないだ読んだ「カイロ」のほうが面白かったな、としか言い様がないんですが、スエズ運河廻りを語るだけでこれだけエジプトが書き出せるのは純粋にすごいのかなぁ。とはいえ、スエズ運河自体の比重が低いんですよw
まあ、さすがにレセップスさん(フランス人でイギリスと縁がありましてエジプト入り)がいろいろ建設までの間に苦労したことなどは書かれていたのですが、もうちょっと工事の苦労とか、あと、英仏イスラエル(何度見ても組み合わせに違和感が)が国連その他を相手に回してのスエズ運河を巡った紛争なんてのももう少し細かく聞きたかったです。
スエズ危機とかスエズ事件とか呼ばれることが多いようです。)


そして正直、植民地の宗主国としてはわりと微妙に愛憎入り混じれていることが多いイギリスなんですが、エジプトに関しては純粋に悪役だなぁ、これ。スエズ運河>エジプトという比重だったのではないかとも言われているのですが、フランス人技師が作ろうとした段階でものすごくねちっこく邪魔していたのも印象に残るw(そしてしれっと完成は祝いました、はははは、そりゃ忘れがたいなぁ)
地中海と紅海をつなぎ(要は欧州と中東だよな)、二つの大陸の間を抜ける水路の概念ははるか古代、ファラオの時代からずっと続いてはいたものの実際に運行されたことはほぼなく。作られたら作られたでイギリスに持っていかれ、エジプト国営にしようとしたら(アスワン・ハイ・ダムの建設費用が出されなかった報復)、紛争を吹っかけてくるという。
もともとの歴史が暗いんだとは思うんですが、、、もうちょっとでいいから明るい面や純粋な技術等の苦労も見たかったなー、というのが正直。
第二運河は日本が掘るといいよ、というのが本の結論なのかしら?