「キューバの社会主義(上」P.M.スウィージー

ある意味でショッキングといえる本で、先入観を抜きにするとここに出てくる「アメリカ帝国」(中南米においてはそういう存在なのだそうです、別の本より)の存在は正直一昔前のやりたいことがよくわからない出来の悪い悪役にしか見えない。
そしてソ連邦筆頭とする社会主義諸国は、些か頼りないながら、アメリカへの対抗意識もあるのでしょうが、なかなか親切です。しかし最終的に経済封鎖を(されています、理由はよくわからない、知っていますが、この本を読んでみると意味がわからない)されている状況の中、一番頼りになったのは“やってやるぞ”という国民の不屈の意思。
そういえば、他に経済封鎖をされたために平和に発展した国というと中東のヨルダンがありますが、あれよりもそれ以前の状況ははるかに悪い、けれど地の利もあるし皆若い、そしてなにより政府が非常に柔軟でもちろん間違いも多々やらかしながら、少しずつでも前進していく、まずなによりも先に教育を。
そして国民に専門知識を、というコンセプトのもと、その教師すら国内に存在せず。
わずかに残っていたブルジョワたちは国外に逃げ出し、ならば、ということで手を貸すのが先に出てきた社会主義諸国と、フランスやイギリスなどのある程度アメリカの意思を気にしないで済むのだろう国の多分変わり者(あくまで多分です)。
理念のためだけにこの国に来て、なに憚らず記述を残す筆者さんたちとかな。


物はない、確かにない、けれどこの国の農民たちは一足ずつの靴をすでに持ち、もう一足の靴を買う余裕があってその靴が国内にない、というのは買う余裕がなくて店先に物が余る国と比べて本当に不幸なのか、というのがわかりやすい表現でしょうか。
そういえばこの国は独裁者の国でした、忘れてましたが、忘れるよこりゃ。