「イングランドの中世騎士−白銀の装甲兵たち」クリストファー・グラヴェット

そもそもこれ自体が19世紀に作られた概念だ、とも言われるのですが、イングランド王家によるフランス王位の要求から(等親でいうと実際近いです)、イングランドの大陸側領土からの撤退までを含めた百年あまりを指す≪英仏百年戦争≫と。
それに引き続いて起こったランカスターとヨークの二系統によるイングランドの王位争いである≪薔薇戦争≫の時代を主に扱っているのですが、まあ、あくまで主題は騎士の防具から始まり、武器、高価な存在だった馬、平時に行われた決闘やトーナメント、負けて捉えられた騎士の扱いやいい稼ぎになったのだという身代金。
領主によって騎士に与えられたという領主の紋章の色を組み合わせた「お仕着せ」。
タイトルにある「白銀の」というのは鉄製のプレート・メイルを磨くと白銀に輝いたよ、ということのようなんですが、あれだよね、これ、ひょっとしなくても磨いたところで特に戦闘におけるメリットってないよね?
(でも、騎士自体がかなり象徴的な存在なのでそんなこともあったのかなぁ、と。)


どうしても武器・防具の実用品なのであまり数は残っていないらしく(けどまあ、数そのものはかなりあったようなのでたまーに偶然残ることはあったんでしょうね)、時に絵画に描かれたものや、領主が残している購入記録や財政管理の帳簿からも情報を得ているのですが、ちょっと個人的に不思議だったのがかなりイタリア製、という言葉が出てきた辺りでしょうか、いや、フランスと取り引き出来ないのはわかるんですが遠いんじゃw
あと、ドイツ製ってことも言ってたかな?(現代のオランダ製もあったっけ?)
もともとイギリスで出版されている歴史シリーズの一冊らしいんですが。
巻末の日本人による主要な流れと著名な戦闘もわかりやすく、なかなかの良書かと。