「セイシェルスと私−インド洋に浮かぶ楽園」塩月正雄

インド洋に浮かぶアフリカ寄り、現代の(ちょっと古い本ですけどね、昭和52年発行だと私が生まれた年だなぁ)楽園に魅せられた、という人物のセーシェルという諸島国家の本なのですが。
正直、常識で考えても娘の事実上の仲人から宿泊料金は取らん気がします。
しかも現観光地、かつての欧州の植民地(フランス→イギリス)の現地住人、それも簡易宿泊施設の娘さんと、それなりのステイタスのドイツ人青年って当人はともかく、どっちの両親も間に立ってくれる人いないとなかなか進展しないかと。。。
(で、ドイツ側のお母さんのことも我が事のように胸を痛めていたわけですよ)(それでお客の感覚しかないほうが酷いっていうか水臭くないかw)


日本のカフェで顔見知りになったイギリス人夫妻から「天国のような」と勧められたセーシェルという島に着いた 著者さんは、到着の当日から家を改築しただけの宿未満の宿に押し込まれ、夜中を過ぎても煩いドイツ人青年二人を怒鳴ったら。
ええと、そののち、その二人の結婚をとりなすことになったんだよ。
(しかもその片方がそこの宿屋の娘さんです、どんな運命だww)
という急展開なので、わりと案の定、世界のどの土地に行っても上手くやっていく方のようなんですがもともと、胃の実験的な手術のために物が食べられなくなっていたのが嘘のように食欲が湧き。かつて完全に観光地化する前は素朴な人びとが暮らし。
本のラストのほうでは観光客にお金をねだる姿まで見られた、とのことなのですが、当の国の偉い人が胸を痛めていたというので、今頃、30年経ってどうなっているかなぁ。
“楽園”を求めるから楽園を搾取することになるのでしょうか、切ない話だよな。