「アメリカは何を考えているか-オイルとマネー」赤木昭夫

タイトルからしてなんだか挑発的だし、中身を開くとびっくり断言の連続でちょっと手に取るのを早まったかなぁ、と思いながらもいやいや岩波書店だし、そこまで極端なこともないだろうと読み進めてみると意外と一個ずつは納得出来るというか。
もう少し責任感の薄い指摘なんかでは見てる内容だったなぁというか。
もともとある程度の推測を交えて本を構成するのは当然のことでもあるので、まあ最終的になにが問題かと言えば口調が荒い、ということくらいになるのかな?


例えば結論近くまで読み進めて感心してしまったのがかつてOPEC(石油輸出国機構)が石油価格吊り上げを目論み、それで結局自分たちが評判を下げ、損をしただけ、というのは有名な話で「もう値段操作はしないだろう」というのが定説ではあったんですが。
ああうん、今度は投機で儲けようというのは十分ありえる話ですよね。
そして投機では実際には利益を得られないだろうというのも、その利益を持っていくのも主に米国系の投機のプロだろう、というのもこの流れだと全く無理はない話。
他の部分は主にアメリカの軍事行動がいかに石油戦略と結びついているか、というそれ自体はよく聞く話でうーん、まあ、説明で納得出来ないでもないし、本そのものがどうか、ということもないのですが説得力のほどはそこそこかなと。
純粋に理論的な部分もあるのですが、外から見て推測してる部分が多い。
(個人的にこの辺は、軍事行為の最終的な選択権を持つアメリカ大統領の側面から見ると補完出来るかもしれません、大統領のみの意思で軍事行動の強硬は必ずしも出来ないけど、大統領はほとんどの軍事行為を最終的に認めないことが出来る。)
まあやっぱり、全体的に自らの首を絞めている気はするんだよなー、結局。