「帝都復興の時代−関東大震災以後」筒井清忠

まあざっくり前半、というか前から3分の1くらいはもともと存在している「震災後復興について」の文章などを念頭において、でも実際にはこんなでこんなだったんだよ、という説明に終始していましたものの、そちらの系統の本のほうを読んでいなかったので重箱の隅突付きというかスキャンダルばっかりというか、というのが正直なところなんですが。
中公新書の『復興計画』などが明文でお勧めされていたりはしましたw)
後藤新平が復興したって言われてるけど実際には復興院は閉鎖されちゃったし、実際にその役に当たっていたのは復興局だし、なんかその辺のことが曖昧になってるし。
その失敗についてもなんか美談みたくになってるけど、実際の当時の新聞記事とかを漁ってみると関係ない人物の葬式に金を使っただ、辞めされられた時の挨拶廻りに公用車を使おうとしただ、というそこそこ小さな件から。
用地買収に関する水増しに次ぐ水増しの記事までずらずらずら〜っと。


そして、あんまり関係ないと思ってその後の震災後の関東の様相、人々の当時の心情などを読んでいたのですが、なんていうんだろう、実際に読み終わってみるとふと、前半で読んだ復興院の所業と、後半で読んだ民間人のどっか暴力的で刹那的な利己主義とも言える流れって別のものなのではないのかなぁ、という気もふとしないでもなく。
確かに詳しい復興計画の話そのものは読んではいないものの、どちらかというと関東大震災の当時、広大な都市整備計画を推し進めてしまえ、という構想があったんだという認識でいたもので、その先入観を重ねてみるとそれはそれなりに意味があったような気もします。
ただ、この本が2011年3月の東日本大震災への教訓となるように、という思いで出版されたのだとしたら、どちらかというと予言の書になるような気はしてしまうのですがw