「フランスを支配した美女−公妃ディアヌ・ド・ポワチエ」桐生操

この著者名を『本当は怖いグリム童話』などのシリーズで、些かよくない(というか端的に薄いんです、内容が、入り口にはいいのかなぁ? 私にはわからない)イメージがある人もいるのではないのかと思うのですが。
大雑把な感触としてはフランスの女性に関してのシリーズは当たりじゃないかな。
ちょうどこの前後の時代に興味があったために、ほぼ同時代、というより、このディアヌ・ド・ポワチエ(年上の愛人)と夫を半ば共有していたカトリーヌ・ド・メディシス(フランス王アンリ2世の王妃)の伝記も読んでいたのですが。
まあうん、正直少なくとも日本人にはこの本のほうがありがたかったです。
とりあえず、家系によって争いが概ね二分されている場合(この流れがのちにフランス国内にプロテスタントとカソリックの争いへと発展します)、地位名や地域名で人物を呼ばれると本当に辛いというか混線してわけがわからないというか。
むしろ人物単位では若干略し気味、全体的な勢力そのものの流れとしての説明に力を注いでいる感じだったので、この本は正しく入門書として良好なのではないかと。


時代はフランソワ1世という、若干それ以前のフランスの枠組みを越えようとした人物の息子の代、彼の次男であるアンリ2世は、どういうわけか母親と同世代の愛人を生涯愛し、その愛人がフランスの事実上の支配者だった、というようなそんな展開で。
この愛人の話単体でも聞いたことあるんじゃないかなぁ?
奥さんのところに帰って子どもを作りなさい、若い愛人を世話をしましょう、とまでしたと言われてる人ですが、それ自体はわりと強かな思惑があったようですがw このディアヌさんの血も各国の王家へと入ったとなると、まあ、単に愛人ってだけの人ではないよね。