「偽りの目撃者」マイロン・ボライター2、ハーラン・コーベン

面白かったのかというとそうでもないのだけれども(なんというか、読んでる人には概ね最後の部分の「からくり」すぐにわかったと思うんだよね、分岐点はホテルの密会辺り、あの辺から収束しててくれれば良かったんだけど、それもそれでリアリティではないのかな、という気はする)、正直前の話よりは興味深かった。
そもそも、なんというかスポーツ・エージェント物というわりにはあんまりそっち系の駆け引きの話が少なくて主に伝わってくるのは、スポーツ産業そのものを取り巻くどす黒さというか、ヤクザ紛いの存在の幅の利かせっぷりくらいなのだけれども。
まあ、それがリアルだからね、と言われるとそれもそんなものか、と思わないでもなく。
読んでて面白いのは少なくともその部分ではないな、くらいしか言うことはないですね。
あと多分、主人公の相棒のウィンの異様さを際立たせようとしてるのかもしれないけど、上の例なんかにもある状況があまりにも酷すぎてね…、一般の社会でウィンの理論を振りかざしちゃ駄目だろうと思うんですが、ヤクザ同士の仁義ならいいじゃんというか。
昔堅気のヤクザが一般人に迷惑掛けんじゃねぇ、という展開に見えてしまい。
恐らく作者氏自体はそう書きたいんじゃないだろうなぁ、という部分に乖離がw


ある日突然に転落の道を歩み始めた(外からは一見なんのきっかけもなく)、かつてのテニスの天才少女と、少女が会おうと試みていた彗星のごとくにテニスの世界に現れた黒人の青年。前者はマイロンにコンタクトを取ろうとしていて、後者は大事な契約相手。
さて、どうしてこの事件を解決しようとするの? という問いかけとその答えが案外面白い話だったのかもしれません。「少女」の顛末はともかくテニスコートの話と射殺事件に関してはちょっと引っ張りすぎだったかなぁ、あと下品な刑事さんがなんか良かったww