「終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ」木村元彦
この人物がどうして“ここまで”したのか興味がある、というレビューを見掛けたが、他にサッカーに関しての本を書いているので、それを読むとわかりやすいのではないかと思う、要するにサッカーが好きで、その取材をしていて、とてもサッカーに強い地域があって、その地域に出掛けていたらこういうことに巻き込まれて、逃げなかった。
というか、現地の人に伝えてくれ、と言われて逃げられなくなったというべきか。
正直に言えばとてもわかりにくい本で、すっきりする部分は全くない、旧ユーゴスラビアという地域で、今正直何カ国になっているのかは私はちょっと自信がない。
かつて自分が属する民族をどうやって決めたのか、というと申告制だったとか、ユーゴスラビアという民族を選んだ人が多かったとか、崩壊するまでは本当にこの国を世界一だと誇りにしていたとかそういうことは他の本で読んだ。
小さく分裂していく国々の一つセルビアにミロシェビッチという大統領がいて、欧米の連合軍に追われて独裁者として殺された。確かに彼は悪だったが、それを他国に裁かれる筋合いはなかったとか、彼がいてくれれば良かったという言葉が語られている。
とある人民部隊の人は、筆者にとても親切にしたが、なんの罪もない民間人の「敵」を容赦なく殺した人物である。それぞれの人物にはもちろん民族名が付属として存在しているものの、その立場はしょっちゅうくるくると入れ替わる。誘拐も止まない。
さすがに国連部隊が殺しをすることはないけれど、というレベルだが、その彼らにすら見捨てられるも同然の扱いを受ける(過去に殺されたことも利用されたこともある)。
この本は2005年に書かれたもので、読んだ時点で数年経っていたが、地名を聞くだけで状況が語られるのを聞くことがない。地名は今も聞く、どうなったのだろうか。